QMS省令とは?QMS体制省令との違いや適用範囲、適合性調査の流れを解説!
医療機器や体外診断用医薬品を市場に流通させる場合、製品の品質や安全性の管理はとても重要な項目です。QMS省令は、医療機器や体外診断用医薬品の製造販売、品質管理の基準を示しています。
本記事では、QMS省令の概要や適用範囲、省令の構成や適合性調査の流れを解説します。QMS省令とGVP省令、ISO13485との違いも紹介するので、ぜひご一読ください。
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QMS省令とは?
QMS省令とは、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」の一般的な呼称です。QMSは、品質マネジメントシステム(Quality Management System)をさします。はじめに、QMS省令の概要、QMS省令とGVP省令との関係、ISO13485との違いを解説します。
QMS省令の概要
QMS省令は、正式名称で表現されているように、医療機器や体外診断用医薬品の「製造管理」と「品質管理」の基準を規定する省令です。医療機器の製造販売に関わる省令であり、医療機器のうち承認や認証が必要な製品を製造販売する場合は、QMS省令の要件を満たさなければなりません。
QMS省令は、国際規格のISO13485と日本の薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)を踏まえて作成されています。ISO13485や薬機法が改正された場合、QMS省令も改正が行われます。
例えば、2014年には、薬機法の改正を受けてQMS省令の一部が改正されました。2021年には、ISO13485:2016との整合性を図る目的で、省令の第2章に大幅な変更が加えられています。
QMS体制省令とGVP省令
医療機器の製造販売には、3つの重要な省令が存在します。前述のQMS省令がそのひとつであり、QMS体制省令とGVP省令は、製造販売業許可要件となる省令です。
QMS体制省令は、QMS省令の基準が適正に守られるための体制の整備に関する省令です。QMS省令では、「医療機器や体外診断用医薬品を製造する組織の体制整備」、「資格要件ごとの適切な人員の配置」が定められています。
GVP(Good Vigilance Practice)省令は、医薬品などの製造販売後安全管理基準に関する省令です。主に、製造販売後に求められる安全管理の基準、例えば、品質、有効性および安全性に関する事項、その他医薬品等の適正な使用に関する基準が定められています。
QMS省令とISO13485の違い
QMS省令とISO13485の違いは、QMS省令は厚生労働大臣が発した命令であるのに対して、ISO13485は医療機器の安全性や品質管理に関する国際的な規格である点です。
ISO(International Organization for Standardization)はスイスのジュネーブに本部がある非政府機関で、グローバルに通用する国際規格を定めています。
なお、QMS省令はISO13485:2003をもとに制定されており、第3章や第4章など一部を除き、ISO13485と一致しています。これは、医療機器の製造販売に関してISO13485認証を必要とする国・地域が増加していることから、国際整合性を担保するためです。
つまり、QMS省令への適合に取り組むと、ISO13485が定める規格も網羅できます。
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QMS省令の適用範囲
QMS省令は、原則として全ての医療機器や体外診断用医薬品に適用されます。製造販売業者は、製造販売する品目ごとに、QMS省令に適合する形で製造管理と品質管理を行う必要があります。
ただし、一部の機器はQMS省令の設計開発に関する規定の適用外です。適用外となる機器は次のとおりです。
- 限定一般医療機器
- 承認や認証の必要がない体外診断用医薬品
なお、2021年の改正により、QMS省令の要求事項が詳細におよんでいるので注意しましょう。改正後のQMS省令への対応には3年間の経過措置が設けられていましたが、2024年3月で措置は終了しました。
QMS省令・QMS体制省令の構成
QMS省令は、第1章から第6章までの6つの章で構成されます。
- 第1章:総則
- 第2章:医療機器等の製造管理及び品質管理に係る基本的要求事項
- 第3章:医療機器等の製造管理及び品質管理に係る追加的要求事項
- 第4章:生物由来医療機器等の製造管理及び品質管理
- 第5章:放射性体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理
- 第5章の2:再製造単回使用医療機器の製造管理及び品質管理
- 第6章:医療機器等の製造業者等への準用等
ISO13485の規定内容に相当する部分は、第2章の「医療機器等の製造管理及び品質管理に係る基本的要求事項」です。第1章の総則では製造販売業者の遵守事項、第3章以降では、追加で要求される事項や日本独自の事項が規定されています。
QMS体制省令は、第1条から第4条までの4つの条文で構成されます。
- 第1条:趣旨
- 第2条:定義
- 第3条:製造管理又は品質管理に係る業務に必要な体制
- 第4条:準用
製造販売業者への要求事項は、第3条に示されています。
QMS適合性調査の概要
QMS適合性調査とは、医療機器や体外診断用医薬品の製造販売業者、登録製造所がQMSに適合しているかを確認する調査です。
QMS省令への適合は製造販売業者や登録製造所の承認・認証要件となっているため、新規または一部変更の承認(認証)を受ける場合には、品目ごとのQMS適合性調査が必要です。QMS適合性調査は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や第三者認証機関などが実施します。
QMS適合性調査に必要な書類
QMS適合性調査に必要な書類には、主に次のものが挙げられます。今回は、PMDAを例に紹介します。
- 申請品目の製造販売承認申請書
- 調査対象品目の製造工程の概要
- ISO13485認証書及び監査報告書などの写し
- 各調査対象施設で実施している活動の概要、各調査対象施設における品質管理監督システムの相互関係が確認できる資料
- その他調査実施者が必要と判断して指示する資料
PMDAのQMS適合性調査は、審査業務部が窓口です。書類の提出方法には、ゲートウェイでのオンライン提出、窓口を訪問しての提出、郵送での提出が用意されています。
依頼する調査内容にあわせて、必要な書類や提出先を確認しましょう。
QMS適合性調査の流れ
QMS適合性調査は、次の流れで実施されます。
- 申請
- 実地調査または書面調査
- 指摘事項の発出
- 改善報告書または改善計画書の提出
- 基準適合証の発行
QMS適合性調査では、申請書類の提出後、認証機関で内容の確認と調査方法の決定がなされます。書面調査と判断された場合は追加の書類の提出、実地調査と判断された場合は、担当者による実地での調査が実施されます。
QMS適合性調査で不備が見つかった場合、QMS指摘事項改善報告書またはQMS指摘事項改善計画書の提出が求められます。QMS適合性調査の全ての調査が終了し合格すると、基準適合証が発行されます。
定期適合性調査と申請のタイミング
QMS適合性調査は、承認を受けた後、5年ごとに定期的に受けなければなりません。この調査は定期適合性調査と呼ばれます。
定期適合性調査を申請するタイミングは、承認取得から5年が経過した期日の6ヶ月前です。調査を受ける際は、定期適合性調査に必要な書類を確認して、窓口に提出します。
品質管理に関する情報収集や支援サービスの導入検討には「ファーマラボEXPO」への来場もおすすめ
診断用医薬品の研究開発や品質管理に関する情報収集を行いたい方は、「ファーマラボ EXPO」への来場もおすすめです。
ファーマラボ EXPOは「インターフェックス ジャパン」と同時開催される展示会で、医薬品の研究開発に関する製品やサービスが出展されます。主な出展対象製品は次のとおりです。
- バイオ研究(試薬、顕微鏡、スクリーニング技術など)
- 研究DX・ラボオートメーション(研究用AI、研究支援ロボットなど)
- 受託サービス(分析受託、臨床試験受託など)
- 分析・測定(分析装置、遠心分離機など)
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また、ファーマラボ EXPOには、品質管理に関する製品やサービスの導入、比較検討の目的で来場される専門家も多いため、関連技術をお持ちの場合は、ブースの出展も可能です。
なお、入場には来場登録が必要です。登録方法については、以下のページをご確認ください。
■ファーマラボEXPO東京
■ファーマラボEXPO大阪
医療機器の製造販売にはQMS省令の適合が不可欠
QMS省令は、原則として全ての医療機器や体外診断用医薬品の製造販売に適用される基準です。ISO13485との整合性を保つなどの理由で随時改正が行われているため、最新の規定を確認しましょう。
医療機器や体外診断用医薬品を販売する場合、品目ごとにQMS適合性調査を申請します。QMS省令への適合性が確認された後も、5年ごとの定期的な調査の通過が必要です。医療機器や体外診断用医薬品の品質と安全性、有効性を確保するため、適切な製造管理や品質管理を実施しましょう。
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医薬品・化粧品・再生医療の研究・製造に関する最新情報が一堂に
▶監修:橋本 光紀
医薬研究開発コンサルテイング 代表取締役。
九州大学薬学部修士課程修了後、三共株式会社の生産技術所に入社し研究に従事。その後、東京工業大学で理学博士号を取得し、M.I.T.Prof.Hecht研・U.C.I.Prof.Overman研に海外留学へ。
1992年よりSankyo Pharma GmbH(ドイツ、ミュンヘン)研究開発担当責任者となり、2002年には三共化成工業(株)研究開発担当常務取締役となる。
2006年に医薬研究開発コンサルテイングを設立し、創薬パートナーズを立ち上げ現在に至る。
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