CRCになるには?仕事内容や年収の相場、必要な資質や役立つ資格について解説!
CRC(治験コーディネーター)は、治験が円滑に行われるよう様々なサポートを行う専門のスタッフです。新薬が承認されて市場に出るまでの過程で、有効性と安全性を評価するために治験が行われますが、治験実施に際してCRCの業務内容は多岐にわたります。
本記事では、CRCになる方法やCRCに求められる資質や役に立つ資格などについて解説します。主な仕事内容や年収相場についてもあわせて紹介するので、CRCを目指している方はぜひご一読ください。
CRC(治験コーディネーター)とは?
CRC(治験コーディネーター)は、治験が適切かつスムーズに進行するためのサポートを行う専門のスタッフです。CRCとは、GCP省令では「治験協力者」と定義されるスタッフを指し、具体的に省令第2条では、「治験実施医療機関において、治験責任医師または治験分担医師の下で治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師、その他の医療関係者をいう」と規定されています。
ここでは、CRCの業務内容と年収相場について紹介します。
CRCの業務内容
CRCの主な業務は「治験開始前」「治験実施中」「治験終了時」に3段階に分類できます。
このように、CRCの業務内容は多岐にわたり、勤務先や治験内容によっても異なります。
CRCの年収相場
CRCの年収は年齢や経験、勤務先、地域などによって大きく異なります。令和5年賃金構造基本統計調査の結果によるとCRCの年収の全国平均(令和5年度)は459.3万円であり、年齢別の平均年収をまとめると以下になります。
25〜29歳:390.72万円
30〜34歳:426.46万円
35〜39歳:466.49万円
40〜44歳:493.89万円
45〜49歳:533.3万円
50〜54歳:554.96万円
55〜59歳:554.29万円
60〜64歳:509.25万円
一般的に保有している医療資格の有無による年収差はあまりなく、勤続年数や認定資格、役職などによって変わる場合が多いです。
CRCになる方法
CRCの勤務先は主にSMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)や病院などの医療機関です。医療機関で新卒採用することはあまりなく、看護師や薬剤師、臨床検査技師などがCRCを兼務していることが多いです。
CRCに必須の医療資格はないものの、臨床経験や医学的・薬学的知識があると望ましく、看護師や薬剤師、臨床検査技師などの医療資格は就職や転職に役立ちます。転職するにあたっては転職エージェントの利用が有効であり、最近ではCRCに特化した転職支援サイトも増えています。
CRCに求められる能力・経験
CRCになる上で求められる資質や能力、役に立つ資格について解説します。
CRCに求められる資質
CRCには、以下のような資質や能力が求められます。
- 医師や製薬会社と専門的な会話ができる医学的・薬学的知識
- コミュニケーション能力
- 臨機応変な対応力や柔軟性
- 被験者への倫理的配慮
- 医療スタッフや各部署との調整能力
- スケジュール管理能力
- 文書作成をはじめとする事務処理能力
- 資料作成などができる最低限のPCスキル
事務処理能力やPCスキルなどは、学生のうちから訓練できる範囲であるため、仕事をはじめる前までに身に着けておくと良いでしょう。
CRCに役立つ資格
CRCとして働く上で役立つ医療資格として、「看護師」「薬剤師」「臨床検査技師」の3つが挙げられます。
看護師は医療の知識を有していることに加え、被験者や他の医療スタッフと円滑にコミュニケーションを図ることができる点で大きな期待が持てます。薬剤師は薬剤に関する基本的な知識があるため治験薬への理解が早いことに加え、薬剤部との調整などにおいても期待されます。また、検査値に関する知識が豊富な臨床検査技師は、被験者の検査値変動や異常値に対して迅速な対応が可能な点で重宝されるでしょう。
また、CRCとしての知識や技術の証明として、各学会や業界団体が独自の認定試験を設けています。代表的なCRC認定試験としては、以下の3つです。
- 日本臨床薬理学会 認定CRC制度
- 日本SMO協会 CRC公認試験
- SMONA CRC認定制度
これらの認定資格を取得していると転職の際に有利なだけでなく、毎月一定の資格手当が支給されることもメリットといえます。
CRCの将来性
日本SMO協会が発表している「日本SMO協会データ2023」によると、CRCの人数は2013年の3156人をピークに2021年まで毎年減少しています。CRCの需要が縮小傾向にあるように見えますが、新薬開発がおこなわれる以上はCRCの仕事がなくなることはありません。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構が発表した「薬物の治験計画届出件数の推移」によると、2015年は127件だった初回の治験計画届数が2023年には161件と増加傾向にあります。特に、抗悪性腫瘍薬の治験計画届出件数は他薬効と比べて非常に多い状況です。今後も、がん領域をはじめとする専門的な知識や経験を持つCRCが求められるでしょう。
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専門性の高い求められるCRCを目指そう
CRCの人数は2013年をピークに現在は減少傾向にあるものの、新薬開発が進むなかでCRCの需要がなくなることは考えにくいです。特に抗悪性腫瘍薬の治験計画届出数は非常に多く、今後がん領域をはじめとする専門的な知識や経験を持つCRCが求められるでしょう。
RX Japan主催の「インターフェックスWeek」は、医薬品・化粧品の製造に関するあらゆる製品やサービスが出展される日本最大級の展示会であり、様々な分野の専門家や企業担当者と情報共有や技術的な質疑応答を行うこともできます。医薬品業界についての知見を深めたい方や、関連製品・サービスを提供している企業の担当者は、ぜひインターフェックスWeekへの来場・出展をご検討ください。
▶監修:山本 佳奈
ナビタスクリニック内科医、医学博士
1989年生まれ。滋賀県出身。医師・医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒、2022年東京大学大学院医学系研究科(内科学専攻)卒。南相馬市立総合病院(福島県), ナビタスクリニック(立川)での勤務を経て、現在、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員を務める。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)がある。
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