薬機法とは?規制対象・違反時の影響や2025年法改正の内容を解説!

薬機法とは、医薬品など人の体への影響が大きい製品の品質や安全性の確保を目的とした法律です。医薬品や医薬部外品、化粧品や再生医療等製品などが規制の対象であり、対象の製品やサービスを取り扱う企業では、薬機法の定めに従った対応が求められます。

本記事では、薬機法の概要や規制対象、主な規制の範囲や違反した場合の影響を解説します。2025年の法改正の内容も紹介しているため、医薬品や医薬部外品に関する法律の仕組みを知りたい方は、ぜひご一読ください。




薬機法とは

薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」であり、医薬品や医療機器、化粧品などの品質・有効性・安全性を確保するために必要な規制や措置を定めた法律です。人の体に直接作用する医薬品や医療機器などの安全性や品質を確保し、国民の生命や健康を守ることを目的としています。

薬機法は、対象となる医薬品等の製品の開発、承認、製造、販売、輸入などに関して許可・承認・登録を義務付けています。その他、製品の広告や表示に関する規定も、薬機法で定められている項目のひとつです。


規制対象

薬機法では、保健衛生上のトラブル発生を防止する観点から、複数の製品を規制の対象としています。規制対象とその主な分類・品目の例は次のとおりです。

薬機法の規制対象は、医薬品や医薬部外品だけでなく化粧品や医療機器も含まれます。2014年11月に施行された改正では再生医療等製品が追加され、細胞加工製品や遺伝子治療用の製品も薬機法の規制対象となりました。

なお、栄養機能食品や特定保健用食品、機能性表示食品などの健康食品は、原則として薬機法の規制対象ではありません。その他、サプリメントや美容器具、除菌グッズや健康雑貨も原則として薬機法の規制対象外です。

ただし、医薬品のような効果効能を謳う表現は、薬機法に抵触するおそれがあるため使用できません。特定保健用食品・栄養機能食品では、認められている一定の効能効果の表示が可能です。


薬機法と薬事法の違い

薬機法は、従来「薬事法」と呼ばれていた法律を、2014年11月25日の改正により名称変更および内容拡充した法律です。

以前は、医薬品などの品質や安全性に関する法律は「薬事法」の通称で知られていましたが、2014年の薬事法の大幅な改正に伴い、名称に医療機器が追加され、通称も「薬事法」から「薬機法」へと変更されました。



薬機法の規制範囲

薬機法では、医薬品や医薬部外品、化粧品などに関する様々なルールが規定されています。主な規制として、製造販売規制、取扱規制、広告規制の3つを解説します。


医薬品等の製造・販売の規制

医薬品等の製造・販売を業として行う場合、薬機法に基づく許可や登録を受ける必要があり、無許可での実施は禁止されています。

許可制や登録制の対象は次のとおりです。


医薬品等の取扱

医薬品等の販売や表示も薬機法で規制が設けられています。主な種類を紹介します。

例えば、以下のような規制が設けられています。

  • 処方箋を持たない者に対して、処方箋医薬品を販売することは原則禁止
  • 医薬品の容器や被包には、薬機法で定められた事項を見やすく分かりやすい言葉で表示しなければならない
  • 医薬品の容器や被包には、虚偽や誤解を招く可能性がある事項、未承認の効能・効果、性能、保健衛生上危険がある用法・用量・使用期限を記載してはいけない
  • 薬機法に違反する医薬品は販売してはならない

医薬品等の広告規制

薬機法の「広告」に該当するかどうかに関して、厚生労働省は次の3つの要件を示しています。

  • 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  • 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  • 一般人が認知できる状態であること

これら全ての要件を満たす場合、薬機法上の「広告」に該当します。ただし、「これらの要件に該当さえしなければ広告にはならないため、宣伝をして問題ない」ということではありません。

例えば、事業者のサイト内にログイン後に閲覧できる情報であっても、内容や提供状況によっては広告に該当すると判断される場合があります。

薬機法の広告規制の対象者は、条文に「何人も」とあるように全ての人です。つまり、メーカーや販売企業だけでなく、広告代理店・Webメディア運営企業・テレビ・新聞・アフィリエイター・インフルエンサーなども対象です。

禁止している広告の内容は薬機法第66条から第68条に定められています。各条文の内容は、以下のとおりです。

虚偽・誇大広告等の禁止(第66条)
医薬品等の名称、製造方法、効能効果、性能に関して、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布や医師などが保証したと誤解される恐れのある広告を禁止しています。

特定疾病用の医薬品等の広告の制限(第67条)
医師等の指導下で使用されるべき、がん等の特定疾病用の医薬品等に関して、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を禁止しています。

承認前の医薬品等の広告の禁止(第68条)
未承認医薬品等の名称、製造方法、効能効果、性能に関する広告を禁止しています。

違反広告の判断基準

どんな広告が薬機法違反になるのかは、「医薬品等適正広告基準」で厚生労働省から指針が示されています。

例えば、以下の内容が禁止されています。

  • 効能効果・用法用量等について、承認範囲を超える表現の禁止
  • 効能効果・用法用量等について、事実誤認のおそれのある表現の禁止
  • 効能効果や安全性について、保証する表現の禁止
  • 効能効果や安全性について、最大級の表現等の禁止
  • 本来の効能効果等と認められない、または誤認のおそれのある表現の禁止
  • 医薬品等の過量消費または乱用助長を促す表現の禁止
  • 医薬関係者以外の一般人向けの医療用医薬品等の広告の禁止
  • 他社の製品の誹謗広告の制限
  • 医薬関係者等の推薦の禁止

医薬品そのものの製造販売だけでなく、処方箋医薬品の取扱や容器への記載まで、薬機法では細やかなルールが設けられています。



薬機法に違反した場合の影響

薬機法に違反すると、所轄庁から行政処分を受ける恐れがあり、刑事罰に問われる可能性もあるため、注意が必要です。以下では、薬機法に違反した場合の主な影響を解説します。


措置命令

例えば虚偽・誇大広告の禁止、承認前医薬品等の広告の禁止に違反した場合、所轄庁から措置命令を受ける可能性があり、命令が出された際はただちにその内容に従わなければなりません。主な措置命令には、以下が挙げられます。

  • 報告命令
  • 緊急命令
  • 製品の廃棄・回収命令
  • 改善命令:違反広告の中止、違反広告の再発防止策の公示(公表)
  • 業務改善・停止命令
  • 許可・登録の取消し

報告命令とは、医薬品に関する重大なトラブルが起きた際に、詳しい関連資料や事実関係の報告を求める命令です。回収命令が発動されると、対象となる製品の回収と回収状況の所轄庁への報告が求められます。


課徴金納付命令

課徴金納付命令は、虚偽・誇大広告に対して科される行政上の金銭的不利益処分です。薬機法では、2021年8月の改正で課徴金納付命令が追加されました。

もともと虚偽・誇大広告等の違反行為に対して、行政処分や刑事罰は設けられていました。しかし、近年、インターネット広告を中心に虚偽・誇大広告の違反行為が多数発生していることから、罰則の強化として課徴金制度が導入されました。

薬機法の課徴金納付命令は、医薬品や医薬部外品などの虚偽・誇大広告が対象です。課徴金納付命令が発出されると、虚偽・誇大広告を行った期間に売上額の4.5%に相当する金額の納付が求められます。課徴金の対象期間は、違反行為の開始日から最長3年間です。

なお、課徴金対象行為に該当する事実を、事案発覚前に違反者が自主的に報告した場合は50%減額されます。

課徴金額が225万円(対象品目の売上が5,000万円)未満の場合は課徴金納付命令の対象外という例外もありますが、課徴金が発生するようなケースが起こらないように管理することが重要です。


刑事罰

薬機法に違反すると、刑事罰の対象となる場合があります。例えば、許可を得ずに医薬品に関する営業を行った際には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、または併科が科される可能性があります。虚偽または誇大広告を行った際の罰則は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、または併科です。

具体的には次のとおりです。



事業者が気を付けるべきポイント

薬機法違反で行政処分や刑事罰を受けると、命令や罰則への対応が求められるだけでなく、企業や商品のブランドイメージや信頼性にも影響を与えかねません。薬機法違反を犯さないために、社内で薬機法に関する注意事項を共有し、適切な対応を行いましょう。

例えば、自社のどの製品が薬機法の規制対象であるかの把握は、薬機法の遵守に欠かせません。広告は決められたルールの中で行わなければなりません。広告規制に抵触するリスクを避けるためにも、厚生労働省が公表する基準や留意事項をしっかりと確認しましょう。

その他、社内に法務部を設置する、薬機法や製品理解のための社内研修を実施する、薬機法専門のコンサルティング会社や弁護士などを活用するなど、違反しないための工夫が重要です。



2025年の薬機法改正で変更された内容

薬機法は、医療技術の進歩や社会情勢の変化を踏まえて随時改正されており、直近では2025年5月14日に改正法が参議院本会議で可決・成立しました。改正内容の一部は2025年11月から施行され、公布後1~3年以内に段階的に施行される見込みです。

今回の改正は、製造・流通・販売の各段階での責任を明確化し、医薬品を取り巻く制度全体の実効性を高める内容となっています。以下では、改正の4つの柱ごとに変更点の概要を解説します。


医薬品の品質および安全性の確保の強化

ひとつ目の柱として、近年相次いだ医薬品の品質不正や製造管理上の問題を背景に、医薬品の品質および安全性の確保に関する規制が強化されました。主な変更点は以下のとおりです。

  • 医薬品品質保証責任者(GQP責任者)の設置義務化
  • 医薬品安全管理責任者(GVP責任者)の設置義務化
  • 指定する医薬品の製造販売業者に対し、副作用に係る情報収集等に関する計画の作成、実施を義務化
  • 薬機法違反時の役員変更命令制度の導入

改正により、従来は省令レベルであったGQP・GVP責任者の設置義務が、法律上の義務として明確に位置付けられました。

また、厚生労働大臣により指定された医薬品について、安全性・有効性を確保するために厚生労働省令で定める時は、当該医薬品の製造販売業者に、副作用に関する情報収集等に関する計画の作成および計画の厚生労働大臣への報告、計画に基づく情報収集の実施、そして厚生労働大臣への結果の報告などが義務付けられます。

さらに、薬機法違反時には厚生労働大臣が責任役員やGQP・GVP責任者の変更を命じる制度が導入され、経営層を含めた体制の見直しが求められるケースも想定されます。


医療用医薬品の安定供給体制の強化

2つ目の柱として、近年のジェネリック医薬品などの供給不足が課題となっており、製薬会社に需給状況のモニタリングなど供給体制の管理強化、供給不足時の対策策定など、安定供給体制の強化に向けた制度整備が行われました。具体的には、以下の施策が挙げられます。

  • 特定医薬品供給体制管理責任者の設置
  • 出荷停止時の届出義務や供給不足時の協力要請の法定化
  • 後発医薬品製造基盤整備基金の創設

医薬品の製造販売業者には、原薬の単一調達を避けた複数調達先の確保や、生産停止を想定した代替製造ラインの検討など、平時から原薬調達や製造計画を含めた供給管理体制の整備が求められます。

出荷停止や限定出荷の際には速やかな届出と情報共有が義務付けられ、供給不足時には国の要請に基づく協力が必要です。

また、後発医薬品では基金が創設され、設備投資や事業再編を通じた安定供給の基盤強化が後押しされます。


より活発な創薬が行われる環境の整備

3つ目の柱として、国際的に指摘されてきたドラッグラグやドラッグロスの解消を目的に、創薬を取り巻く制度の見直しが行われました。見直しの主な内容は以下のとおりです。

  • 条件付き承認制度の見直し・拡大
  • 小児用医薬品開発計画の策定の努力義務化
  • 革新的医薬品等実用化支援基金の設置;創薬力強化や創薬スタートアップ(新興企業)支援促進

条件付き承認制度では、承認後に検証的臨床試験を実施できる仕組みが整えられ、有効性が見込まれる医薬品を早期に患者へ届けやすくなりました。

あわせて、小児用医薬品の開発促進や基金による資金支援を通じ、国内での創薬環境の底上げが図られています。


国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化

4つ目の柱として、地域や生活環境による医薬品アクセスの格差を是正するため、薬局機能の強化に向けた変更が実施されました。主な変更点には以下が挙げられます。

  • 調剤業務の一部外部委託の解禁
    調剤業務の一部を、都道府県内にある別の薬局に外部委託できるようになりました。対象となる業務はピッキング・包装、事務作業です。ただし、人手不足の解消や、薬剤師が専門性の高い業務に集中することを目的としているため、患者対応や服薬業務は委託対象ではありません。
  • 遠隔販売(オンライン販売)などの仕組みの整備
    OTC医薬品などの「要指導医薬品」のオンラインでの服薬指導・販売が解禁されます。ただし、全ての要指導医薬品が可能になるわけでなく、一部は対象外とされ、対面での販売を継続します。
  • 乱用の恐れがある医薬品の規制強化
    若者によるオーバードーズ(過剰服薬や過剰摂取)の問題を受け、医薬品の販売に新たな制限が設けられます。咳止めや風邪薬など「乱用の恐れのある医薬品」の20歳未満への販売は、原則として複数・大容量の販売が禁止されます。また、販売時は購入者の状況確認・情報提供を義務としています。

改正により、薬剤師の業務効率化と安全性の確保を両立しつつ、医薬品へのアクセス改善が図られます。例えば、薬剤師によるオンラインでの管理のもと、あらかじめ登録された、薬剤師などが常駐しない店舗(コンビニエンスストアなど)において医薬品を保管し、購入者へ受け渡すことが可能です。

一方で、乱用リスクがある医薬品は、販売管理や情報提供の厳格化が進められており、薬局や販売現場では従来以上に丁寧な確認と説明対応が求められます。



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▶監修:橋本 光紀

医薬研究開発コンサルテイング 代表取締役。

九州大学薬学部修士課程修了後、三共株式会社の生産技術所に入社し研究に従事。その後、東京工業大学で理学博士号を取得し、M.I.T.Prof.Hecht研・U.C.I.Prof.Overman研へ海外留学。
1992年よりSankyo Pharma GmbH(ドイツ、ミュンヘン)研究開発担当責任者となり、2002年には三共化成工業(株)研究開発担当常務取締役となる。
2006年に医薬研究開発コンサルテイングを設立し、創薬パートナーズを立ち上げ現在に至る。


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