ジェネリックとは?先発医薬品との違いやメリット、安全性を詳しく解説!
近年、ジェネリック医薬品が幅広く使用されています。先発医薬品よりも安価に購入できるものの、効果や安全性について疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
そこで、本記事では、ジェネリック医薬品がどのような製品なのかを詳しく解説します。先発医薬品との違いや、ジェネリック医薬品が普及した理由・背景、メリット、処方してもらう方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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ジェネリックとは
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与される製剤です。先発医薬品と比較して用法・用量が原則として変わらず、同等の効き目や安全性が証明されています。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許期間終了後に、厚生労働省の承認を得て製造・販売されます。1から開発するわけではないため、先発医薬品よりも安価です。
なお、ジェネリック医薬品の有効成分は先発医薬品と同じですが、添加剤・製造方法・色・大きさなどに関しては異なる場合があります。添加剤に関しては、安全性が確認された物質のみ使用可能です。薬理作用を発揮したり、有効成分の効果を妨げたりする物質は、添加剤として使用できません。
ジェネリック医薬品とオーソライズド・ジェネリックの違い
オーソライズド・ジェネリックとは、先発医薬品を製造するメーカーから許諾を得た上で製造・販売されるジェネリック医薬品です。英語では、Authorized Genericと表記されます(略称はAG)。
上述したように、通常のジェネリック医薬品では、有効成分以外の添加剤や製造方法などが先発医薬品と異なる場合があります。しかし、オーソライズド・ジェネリックでは、有効成分だけではなく、添加剤や製造方法なども先発医薬品と同じです。なお、薬品名・包装・刻印・印字に関しては、先発医薬品と異なります。
ジェネリック医薬品が普及した理由・背景
以下は、ジェネリック医薬品が普及した理由・背景です。
- 高齢化により医療費が増加したため
- 医療水準を落とさず、公的医療保険制度を維持するため
以下で詳しく説明します。
高齢化により医療費が増加したため
日本では、国民皆保険制度が導入されています。国民皆保険制度とは、誰もが何らかの公的医療保険制度(健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)に加入する仕組みです。医療費の大半は公的医療保険で賄われているため、医療機関で診察・治療を受ける際の自己負担額が抑えられています。
公的医療保険制度のおかげで日本人の平均寿命は長くなりましたが、その分国が負担する医療費が増大しています。今後、少子高齢化によって医療費が増加すると、現行の公的医療保険制度を維持し続けることが困難になるかもしれません。そこで、医療費を節減するために、ジェネリック医薬品の普及が図られました。
医療水準を落とさず、公的医療保険制度を維持するため
公的医療保険制度を維持するためには、国が負担する医療費の節減が求められます。しかし、医療費の節減のために患者の自己負担額を大きくすると、治療を断念せざるを得ない状況に追い込まれる方が発生するかもしれません。
そのような事態を避けるためにも、患者の負担を増やさずに高水準の医療を維持できるジェネリック医薬品の使用が推奨されています。
ジェネリック医薬品の効果や安全性は先発医薬品と同等
以下は、ジェネリック医薬品が先発医薬品と同等の効果や安全性があると認められる理由・根拠です。
- 有効性・安全性などに関する審査に通過している
- 各種法令・ルール(GMPなど)を遵守した工場で製造されている
以下で詳しく説明します。
有効性・安全性などに関する審査に通過している
ジェネリック医薬品を製造する際には、有効性や安全性に関して、先発医薬品との違いが生じないように厳格な試験を実施しなければなりません。そして、各種データを踏まえて審査が実施され、厚生労働大臣が承認することで先発医薬品と同等の安全性が証明されます。
なお、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第14条や薬機法施行規則第43条などで承認の申請に関するルールが定められているので、詳細は条文に目を通してください。不明な点がある場合は、厚生労働省に問合せるか、弁護士などにご相談ください。
各種法令・ルール(GMPなど)を遵守した工場で製造されている
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同様に、各種法令・ルール(GMPなど)を遵守した工場で製造されます。
GMP(Good Manufacturing Practice)とは、医薬品を製造するための基準です。日本で医薬品を製造する場合は、GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)に従わなければなりません。
GMPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
ジェネリック医薬品のメリット
以下は、ジェネリック医薬品のメリットです。
- 低価格で購入できる
- 飲みやすさが改善される場合がある
以下で詳しく説明します。
低価格で購入できる
ジェネリック医薬品は、1から開発するわけではなく、特許が切れた先発医薬品の有効成分と同じ成分を用いて、先発医薬品と同等であることを踏まえて開発・製造されます。
先発医薬品は、9~17年程度の開発期間、300~数千億円以上の開発費がかかる一方で、ジェネリック医薬品は、3~5年程度の開発期間で開発され、費用は1~2億円程度で済みます。開発に要する時間と費用が少ないため、ジェネリック医薬品の価格は先発医薬品よりも安価に提供されています。
飲みやすさが改善される場合がある
有効成分は変えずに、先発医薬品を改良した「アドバンストジェネリック」と呼称される製品も存在します。以下は、アドバンストジェネリックで改良される要素の例です。
- 錠剤・カプセルのサイズを小型化する
- 臭いや味を改善する(苦味を低減するなど)
- 色や形状を変更して区別しやすくする
- ゼリー状に加工して飲みやすくする
- OD錠(口腔内ですぐに崩壊し、水なしで飲める錠剤)に加工する
アドバンストジェネリックは、先発医薬品よりも服用が容易で、飲み間違えの防止にも役立ちます。なお、OD錠は、水分摂取制限を受けている患者の服薬に有用です。
ジェネリック医薬品を処方してもらう方法
以下は、ジェネリック医薬品を処方してもらう方法です。
- 口頭で伝える
- 「ジェネリック医薬品希望(お願い)カード」を提示する
各方法に関して詳しく説明します。
口頭で伝える
患者が口頭で「ジェネリック医薬品に変更したい」と伝えると、ジェネリック医薬品使用の可否を医師が判断します。医師が発行した処方箋の変更不可欄に「レ」または「×」の記載がない場合は、ジェネリック医薬品に変更可能です。
処方箋を保険薬局に持参した際に、薬剤師にジェネリックを希望する旨を伝えると、ジェネリック医薬品が提供されます。
なお、先発医薬品の特許がまだ切れていない場合は、先発医薬品に代替できるジェネリック医薬品がないこともあります。また、添加剤に対するアレルギーが懸念される患者などに関しては、ジェネリック医薬品を使用できない場合もあるため注意しましょう。
「ジェネリック医薬品希望(お願い)カード」を提示する
口頭で伝えることが難しい場合は、「ジェネリック医薬品希望(お願い)カード」を医師や薬剤師に提示してジェネリック医薬品を処方してもらう方法もあります。また、健康保険証やお薬手帳に貼り付けるタイプの「ジェネリック医薬品希望シール」も配布されているため、活用するとよいでしょう。
カードやシールは、自治体や健康保険組合、医療機関、日本ジェネリック製薬協会などが配布しており、健康保険証の交付時に同封される場合もあります。詳細は、各自治体や健康保険組合などの公式サイトでご確認ください。
なお、厚生労働省が2009年度に実施した調査によると、ジェネリック医薬品希望(お願い)カード保有者のうち、「カードによって依頼しやすくなった」と回答した割合は37.3%でした。
展示会でジェネリック医薬品の開発・製造に役立つ情報を探そう
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各展示会の詳細を知りたい方は、以下のリンクをご確認ください。
■インターフェックスWeek 大阪
2025年2月25日(火)~27日(木) インテックス大阪
■インターフェックスWeek 東京
2025年7月9日(水)~11日(金) 東京ビッグサイト
※一部の講演は有料です。
医療費抑制のためにはジェネリック医薬品の開発・製造が不可欠
持続可能な公的医療保険制度を構築するためには、先発医薬品に比べて安価なジェネリック医薬品の利用をさらに拡大する必要があります。ジェネリック医薬品に関して正しい知識を身に着け、条件に合えばぜひ取り入れてみましょう。
RX Japanが主催する展示会「インターフェックスWeek」には、ジェネリック医薬品の研究・開発・製造に役立つ機器・サービスが数多く出展されます。製薬や医療器具などの開発・販売などに携わっているのであれば、ご来場の上、情報を収集してはいかがでしょうか。また、関連技術・サービスを提供する企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
2025.2.25(火)-27(木) インテックス大阪で開催!
医薬品・化粧品・再生医療の研究・製造に関する最新情報が一堂に
▶監修:武藤 正樹
社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ理事
神奈川県出身。1974年新潟大学医学部卒業、国立横浜病院外科医師、ニューヨーク州立大学家庭医療学科に留学、国立医療・病院管理研究所医療政策研究部長。国立長野病院、国際医療福祉大学三田病院、国際医療福祉大学大学院教授等を経て、2020年より現職。日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会代表理事
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