GMP認定とは?申請の流れや必要なもの、相談先、注意点などを解説!
GMPは製品の製造管理および品質管理に関する基準であり、医薬品を製造する場合はGMP省令に適合する必要があります。医薬品は生命に直接関わる製品です。患者が安心して使用できる安全な医薬品を提供するために、製造所や工場のみならず原材料供給先まで厳しい管理が求められます。
本記事では、GMP認定の概要やGMP適合性調査を申請する流れ、GMPに適合するメリットや申請時の注意点にを解説します。
GMP認定とは?
医薬品のGMPとは、製品を適切に製造・管理して品質確保に必要な項目をまとめたものです。医薬品は病気の治療や患者の健康のために用いられる製品であり、日本では、医薬品を製造する際に薬機法に基づく許可・承認を得る必要があります。
また、医薬品の製造業者はGMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)を遵守する必要があり、GMP省令に基づく適合性調査をクリアしなければなりません。医薬品は体に直接関与する製品であるため、法律や規則で製造するための許認可や要件が定められています。
GMPについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
GMP認定を取得する流れ
医薬品を製造する場合、前述のようにGMP適合調査をクリアする必要があります。GMP適合調査の大まかな流れは次のとおりです。
- 事前相談
- 適合性調査の申請
- 実地または書面による調査
- 結果通知書の交付
それぞれの詳細を解説します。
事前相談
GMP適合性調査を受ける際は、事前の相談が必要です。調査機関により違いはありますが、申請提出予定日の1~2ヶ月前までに担当部署で事前相談を行いましょう。事前相談では、GMP適合性調査の日程調整や申請する品目・種類などを相談します。
なお、国内の新医薬品や生物学的製剤、国家検定医薬品や放射性医薬品、海外の医薬品製造所などのGMP適合性調査の窓口※は独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)です。PMDAで実施する製造所以外の国内製造所のGMP適合性調査の窓口は、都道府県となっています。
適合性調査の申請
GMP適合性調査では、申請書とともに複数の書類を添付します。申請で必要な書類の例は次のとおりです。
- 医薬品適合性調査申請書
- 当該適合性調査の申請日から過去2年間に他の適合性調査権者などが実施したGMP調査にかかる適合性調査結果通知書または調査報告書の写し
- 製造販売承認申請書の写し
- 輸出用医薬品製造届書の写し
- 調査対象品目に関する概要
- 組織図、GQP及びGVPの体制図
- 製造所概要;構造設備一覧
- 宣誓書
なお、新規の製造販売承認申請時や承認取得後5年が経過した際の定期調査時、区分適合性調査で必要となる書類は異なります。申請する機関でも違いがあるため、詳細は申請窓口で確認しましょう。
実地または書面による調査
GMP適合性調査の実施機関で提出された書類が確認された後、実地または書面による調査が行われます。実地調査で不備が見つかった場合は、実施機関から10勤務日以内で指摘事項書が交付されます。指摘事項書を受け取ったら、2週間をめどに製造業者は改善計画書や改善結果報告書などを提出します。さらに照会事項がなければ2週間程度で結果通知が届きます。書面調査の場合は提出後1ヶ月で照会され指摘事項が出された場合は1ヶ月で指摘事項改善報告を回答します。問題なければ1ヶ月後に結果通知が出されます。改善策に不備があると指摘―回答の繰り返しです。
結果通知書の交付
実地または書類調査の結果に基づいて、実施機関の担当部署では審査が行われます。審査終了後、指摘事項がなければ実施機関は承認権者や製造販売業許可権者へ結果通知書を送付し、申請者に対して調査結果通知書や調査結果報告書の写しを交付します。
GMP認定を取得するメリット
GMPへの適合は医薬品製造の義務であるだけでなく、いくつかのメリットをもたらします。主なメリットは次のとおりです。
- 品質や信頼性の向上
- 海外輸出への対応
各メリットの詳しい内容を紹介します。
品質や信頼性の向上
GMP省令では医薬品製造所での製造管理や品質管理、衛生管理などの手順書の作成を要件としており、医薬品製造時には手順書に従って業務を行わなければなりません。
具体的には、構造設備や職員の衛生管理、原薬製造管理、作業、記録書、原材料の取り扱い、適格性評価、QA(品質保証部)、QC(品質管理部)、SOP,文書、出発物質、重要工程、製品規格、変更管理、安定性モニタリング、製品品質の検査、バリデーション、教育関連などに関する手順です。各手順が厳正に管理されることにより、人為的なミスや汚染が最小限にとどめられます。結果として、製造する医薬品の品質や信頼性の向上が見込める点がメリットです。
海外輸出への対応
GMPは日本だけでなく、各国で基本法令が定められ、ガイドラインなどが整備されています。輸出相手国からGMP適合証明を求められており、GMPへの適合は海外輸出に対応するための必須事項です。
GMP適合性調査申請を行う際の注意点
GMP適合性調査は医薬品製造のための重要なプロセスです。申請を行う際は、以下の点に注意しましょう。
申請に必要な書類を確認する
前述のように、GMP適合性調査申請に必要な書類は多岐にわたります。PMDAではチェックリストを公式サイトで公開しているので、漏れがないように事前に確認しましょう。英語以外の外国語で記載された資料を提出する場合は、日本語または英語で記載された概要を添付する必要があります。
窓口での申請方法を確認する
GMP適合性調査の窓口での申請方法は、各機関で異なります。担当部署、申請時期、受付可能な曜日・時間、アポイントメントの要否などを事前に確認しましょう。GMP適合性調査時には、プロセスバリデーションが完了していることが必要です。未完了の場合には審査が遅れることになるので、スケジュール管理に気を付ける必要があります。また審査に一定の期間を要するため、回答書作成は迅速に行うなど社内での対応が重要です。
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GMP認定は医薬品製造に必要なプロセス
医薬品は生命に関わる製品であり、厳格な管理が求められる製品です。GMP省令に基づく適合性調査の申請には、事前相談や必要書類の提出、実地または書類での審査が必要となるため、新薬承認のスケジュールを考慮して手続きを行いましょう。
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▶監修:橋本 光紀
医薬研究開発コンサルテイング 代表取締役
九州大学薬学部修士課程修了後、三共株式会社の生産技術所に入社し研究に従事。その後、東京工業大学で理学博士号を取得し、M.I.T.Prof.Hecht研・U.C.I.Prof.Overman研へ海外留学へ。
1992年よりSankyo Pharma GmbH(ドイツ、ミュンヘン)研究開発担当責任者となり、2002年には三共化成工業(株)研究開発担当常務取締役となる。
2006年に医薬研究開発コンサルテイングを設立し、創薬パートナーズを立ち上げ現在に至る。
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